印象に残らない美しさ
香港と言えば、この大きな看板。昔ながらの街並みが残っている場所は、思わず足を止めてしまいます。
今週は、初夏のような陽気から一転して、真冬並みの寒さになり、ジェットコースターに乗っているような気分です。なかなか激しい季節の変わり目ですが、皆さま体調など崩されていませんか?
最近の私は、久々に家の中でドラマを観る時間を楽しんでいました。中でもお気に入りだったのは、Amazon Primeで配信されている『EXPATS(エクスパッツ)』。ニコール・キッドマン主演の作品で、香港が舞台になっています。作品の中では、広々とした綺麗なアパートメントに住む駐在員家族と、猫の額ほどの狭い集合住宅に住むローカルの人々との生活の対比が印象的で、現在の香港のリアルが伝わってくるような内容です。ちょっと重い話ではありますが、映像も脚本も素晴らしいので、ご興味ある方はぜひ。
消えゆくあの光景
ところで、香港の街並みと言えば、どんな風景をイメージしますか?私はやっぱり、ぎらぎらとしたネオンサインがひしめいているイメージ。子どもの頃に香港を訪れた時は、2階建ての観光バスに乗って、ネオンサインぎりぎり真下を走るツアーがとても楽しかったことを覚えています。しかし、ちょうどコロナ禍前に香港を再訪した時には、子どもの頃に見た光景とは変わりつつある印象を持ちました。それは、ネオンサインが少なくなってきているということ。実際、香港ではここ数年でネオンサインの撤去が進んでいるそうです。安全や環境上の理由など、やむを得ない事情があるとはいえ、なんだか寂しい気持ちになりました。
香港に限らず、世界中のあらゆる都市は、昔よりも安全に、綺麗に、歩きやすく整備されてきています。東京でも、例えば中野や下北沢など、ちょっと雑多でサブカルチャー色の強かった街が、綺麗に整備された街へと再開発されています。綺麗な街の恩恵は私自身も受けていますし、それ自体否定するものではありません。けれど、誰にとっても安全で整然とした街は、無色透明の水のように、さらさらと私たちの意識をすり抜け、記憶に残りづらくなることも事実。