なぜ私たちは、過去に惹かれてしまうのか?
最近急に肌寒くなって、ようやく秋らしくなってきましたね(というより、今この文章を仕上げている最中は冬のような寒さなのですが)。
この季節になると、どこからかふと香ってくる金木犀の匂い。この香りを嗅ぐと、なぜか決まって、懐かしいような少し切ないような気持ちが込み上げてきます。一年の終わりが近づく予感に感傷的になるのか、それとも冷たい空気がそう感じさせるのか……。
そんな、少しだけ内省的になる秋という季節に、不思議とぴったり合うのが「ノスタルジア」という言葉。
最近、この感情をまったく新しい角度から捉え直してくれる一冊に出会いました。それは、歴史学者アグネス・アーノルド=フォースター氏による著書『ノスタルジアは世界を滅ぼすのか:ある危険な感情の歴史』です。
本の帯にはこうあります。
「人類史上、最も危険で、最も癒され、最も儲かる“エモい”感情の正体」。
これまで私は、ノスタルジアという言葉を「懐かしさ」や「懐古趣味」といった印象でしか捉えていませんでした。けれど、この本を読むと、その言葉の裏に人類の驚くべき歴史が広がっていることを知り、まさに目から鱗の連続でした。
今回は、この本が示すノスタルジアの意外な起源を手がかりに、そこから少し視野を広げて、私自身の考えも交えながら、この不思議な感情のさまざまな側面を探ってみたいと思います。
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- 「昔は良かった」がオカネになる
- 懐かしい=新しい
- さよならがなくなる時代
- どの「懐かしい」を、選んでいくか。
- FAVVY - センスを育てるヒント - について
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