なぜ「丁寧な暮らし」はしんどいのか?

「選べる豊かさ」と「選べない現実」のあいだで
Miwako 2025.06.21
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ニューヨークの高級住宅街にひっそりと佇む、グラマシーパーク。
この公園に入れるのは、鍵を持つごく限られた住民だけ。 静けさに守られたこの場所は、まさに、「選ばれた人だけが享受できる環境」(私は柵の外から眺めただけ)。

ニューヨークの高級住宅街にひっそりと佇む、グラマシーパーク。 この公園に入れるのは、鍵を持つごく限られた住民だけ。 静けさに守られたこの場所は、まさに、「選ばれた人だけが享受できる環境」(私は柵の外から眺めただけ)。

食事はお惣菜に頼らず、オーガニックな食材を使って手作りする。

服は、ファストファッションではなく、長く着られる上質なものを選ぶ。

家具は、安価な量産品ではなく、使い込むほどに味わいが出る天然木のものにする。

どれも、「丁寧な暮らし」を象徴するような選択です。慌ただしい日常から距離を置いて、じっくりと吟味したものに囲まれる。私もできることなら、生活のすべてをそんな風に整えたいなと思っています。

……けれど、現実はなかなかそうはいきません。

忙しい日にはお惣菜や出前に頼ることもあるし、服も家具も、「こうありたい」という理想がある一方で、つい価格や手軽さに惹かれて選んでしまうこともあります (ZARA、H&M、IKEAさま、平素より大変お世話になっております)。

そんなとき、ふと心の中で「私、ちゃんとしてないかも」とつぶやいてしまう。

「安くて便利」な選択をしたときに感じる、小さな後ろめたさ。 それは、一体どこからくるのでしょうか。

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続きは、5341文字あります。
  • 「安いは正義」の時代
  • 価値観の反転と「選び抜かれた生活」
  • 飛行機移動は恥ずべきこと?
  • 贅沢品としての信念
  • 安っぽいのは人であって、モノじゃない
  • FAVVY - センスを育てるヒント - について

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