「不健全なものが好きかも」という気持ち

なぜ人は「依存の物語」に惹かれてしまうのだろう
Miwako 2026.03.08
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今、世界を席巻している、千葉県・市川市動植物園のニホンザルの赤ちゃん、パンチくん。

昨年7月に生まれたパンチくんは、母親に育児放棄され、人工哺育で育てられたそう。本来ならばお母さんにしがみついて安心感を得る時期に、その代わりとして飼育員さんが用意したのが、IKEAのオランウータンのぬいぐるみ(通称:オランママ)。

このオランママをぎゅっと抱きしめながら、サル社会の中で懸命に生きる姿がSNSで投稿されると、瞬く間に世界中で話題に。

CNNやBBCなど海外の報道機関からの取材が殺到し、ホワイトハウスの公式Xにまで登場。Googleで検索すればパンチくんが画面に降ってくる演出まで現れ、IKEAの店舗ではぬいぐるみが品切れに。小さな動物園には3連休の間にで1万5000人が押し寄せ、開園40年以来の来場記録を更新。

そして、あの世界的なポップスター、BLACKPINKのリサまで市川市動植物園に駆けつけるという驚きの展開に(学生時代にしばらく市川に住んでいた私には、この事態がとにかく不思議な感覚。なんでリサが市川にいるの笑)。

そんなパンチくん、最近ではオランママから離れる時間が増えてきたそうです。他のサルの背中に登ったり、毛づくろいをしてもらったり。動物として、この上なく健全な成長です。

ただ、パンチくんが徐々に自立していくにつれ、人々の熱狂的な視線も落ち着いていくのだろうな……ということも頭をよぎります。

ところで、このパンチくんの話題を見て、なぜか思い浮かんだのは、エメラルド・フェネル監督の映画『嵐が丘』。今回の映画版は、原作小説のエピソードを大胆に削ぎ落とし、キャサリンとヒースクリフの「危うい」関係にフォーカスが当てられています。

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